936.正しいお金の考え方 76【会計7原則】(4) 一対一対応の原則③
ところで中小企業でありがちなのが、「社長が急いでいるから」と伝票を発行せずに仮払いするケースがあります。
するとその仮払金の証拠となる伝票がないので後々わからなくなってしまい、仮払金の残高が残り、現金残高も合わなくなります。
社長も忙しくて精算せずにそれっきりになることがありますから、これでは現金が合うはずがありませんね。
最近はキャッシュレスで現金を扱う企業は減っていますが、現金だけは預金通帳や当座預金照合表などの第三者が発行する証拠書類がありませんから、自社で現金を数えて金種表を残し、証拠書類を残さないといけないのです。
中小企業の中には、毎日の実際の現金有り高を数えないので現金過不足が生じてもそのままになってしまい、決算で合わないことに気づいても一年分の現金を遡って確認することは困難ですから、結局、数字が合わないまま処理をしてしまうことがあるのです。
ところで、私が師匠と雑談したときにこんなこともありました。
2008年リーマンショックの影響で、前期に最高益を計上したトヨタが一気に赤字転落するというニュースが流れ、その報道される赤字額は月を追うごとに増えていきました。
私 「あのトヨタも今期は赤字ですね。」
師匠「京セラは、発表した決算予測額があんなにズレることはない。」
京セラは、将来の見込み数値もしっかり正確に把握しているので、決算予想の数字がほとんどズレることはないそうです。よってリーマン後の決算は当初の予測値とほとんど変わりませんでした。
決算までの見込み額まで一対一対応を徹底しているとは、本当に師匠はすごいです。