2023年9月21日 (木)

936.正しいお金の考え方 76【会計7原則】(4) 一対一対応の原則③

ところで中小企業でありがちなのが、「社長が急いでいるから」と伝票を発行せずに仮払いするケースがあります。

するとその仮払金の証拠となる伝票がないので後々わからなくなってしまい、仮払金の残高が残り、現金残高も合わなくなります。

社長も忙しくて精算せずにそれっきりになることがありますから、これでは現金が合うはずがありませんね。

最近はキャッシュレスで現金を扱う企業は減っていますが、現金だけは預金通帳や当座預金照合表などの第三者が発行する証拠書類がありませんから、自社で現金を数えて金種表を残し、証拠書類を残さないといけないのです。

中小企業の中には、毎日の実際の現金有り高を数えないので現金過不足が生じてもそのままになってしまい、決算で合わないことに気づいても一年分の現金を遡って確認することは困難ですから、結局、数字が合わないまま処理をしてしまうことがあるのです。

ところで、私が師匠と雑談したときにこんなこともありました。

2008年リーマンショックの影響で、前期に最高益を計上したトヨタが一気に赤字転落するというニュースが流れ、その報道される赤字額は月を追うごとに増えていきました。

私 「あのトヨタも今期は赤字ですね。」

師匠「京セラは、発表した決算予測額があんなにズレることはない。」

京セラは、将来の見込み数値もしっかり正確に把握しているので、決算予想の数字がほとんどズレることはないそうです。よってリーマン後の決算は当初の予測値とほとんど変わりませんでした。

決算までの見込み額まで一対一対応を徹底しているとは、本当に師匠はすごいです。

 

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2023年9月14日 (木)

935.正しいお金の考え方 75【会計7原則】(4)一対一対応の原則②

売掛金や買掛金の消し込みも、どの売上分の集金で、どの請求分の支払いなのかを、一対一で対応させて消し込みをします。

あるとき、師匠の会社の担当社員が大手企業への売掛金5000万円を集金するのに、相手から「とりあえず1000万円払う」と言われたことがあったそうです。

それに対し師匠は「様々な納品をした5000万円のうち、どの分の集金なのかわからない、そんなもの貰ってくるな」と叱ったそうです。

担当社員がそのように相手企業に伝えると「小っちゃな会社のくせに、そんな細かいこと言うのはけしからん。払わんぞ」と言われてしまったそうです。

師匠はそこまで徹底して一対一の対応をしていたのですね。しかし、これは担当者だけでなく経営者であるトップの皆さんがやらなければできないと言っています。

また、「月々の損益計算書が赤字になったり黒字になったりアップダウンしている会社があるが、それはおかしい」

「実際に売上が変動しているのであればいいが、売上が変動していないのに損益が暴れるのは、売上と経費の一対一対応ができてない証拠だ」と言われます。

売上は上がっているのに、その分の仕入れ伝票が届いていないため仕入計上が翌月になってしまうこともありますよね。すると損益計算書を見ても正確な業績は掴めません。

売上と仕入の対応、そして売上と経費の対応も、費用収益対応の原則にもとづいて、確実に一対一で処理していくことが必要です。

「全体でだいたいいくら」という、個々の対応がわからない漠然としたグロス、マクロ、丼勘定はご法度なのですね。

 

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2023年9月 7日 (木)

934.自分を高めると楽になる

テニスでも、将棋でも、何でもいいのですが、相手より自分の方が実力があれば勝負は楽ですね。

メジャーリーグと高校野球みたいに、実力の差が大きければ大きいほど楽です。

これと同様に、仕事でも、人生でも、自分を高めると楽になります。

自分を高めるとは、師匠の教えでは二つの要素があって、一つは自分の心を高めること、もう一つはものごとをこなす実力を高めることです。

この二つ両方を高めないと楽になりません。

心を高めるとは、人間性を伸ばす、人格を高めるということです。

人格を高めるとは、優しい人、思いやりの人になる、自己中心でなくなる、エゴが少なくなる、利他が増える、ということですね。

そして、利他心が増えると自然と努力家になりますから、実力もだんだん高まります。

だから、結果として楽になるのですね。

自分を高めるためには努力や工夫、仕組みが必要で大変なのですが、その見返り、副産物として人生が楽になるのですから、喜んでコツコツやっていこうではありませんか。

 

 

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2023年8月31日 (木)

933.正しいお金の考え方74【会計7原則】(4)一対一 対応の原則①

この原則は会計における鉄則とも言えますが、中小企業はなかなかできていません。いえ師匠は大企業もできていないと言います。

大企業では、部門間での売上の貸し借りや、場合によっては会社間での売上の貸し借りが行われていることもあると聞きます。実際には売上がないのに、伝票だけで売上計上してしまうのですね。

このように、一対一の対応が会社全体で完璧に実行されていないと、伝票だけで簡単に粉飾ができてしまうのです。
 
この一対一対応の原則は、納品したとき、集金したとき、支払いしたときに、物や現金が動きますから、それに付随して必ず納品書、領収書、請求書などのその動きを証明する書類とセットで動かすという仕組みです。 

そして、こちらが伝票などの書類を発行するのはもちろんですが、納品した際の納品書控えを相手先からもらうことも絶対に忘れてはいけません。双方の伝票発行が確実に行われることが大事です。

実際、師匠の会社では東芝、日立、三菱電機などのお客様からの催促で「急いで試作品をつくっているので、早く持ってきてくれないと困る」と言われ、深夜に製造して、京都から東京まで夜行列車に乗って納品することもあったそうです。しかし、その場では受領書をもらわずに帰ってきてしまい、ついつい忙しくてそのままになってしまうこともあったそうです。

後日、その分の請求をするのですが、「〇月〇日の納品分です」と言っても、受け取った担当者も忙しくてそのことを忘れてしまっていることもあり、結局は代金をいただけないことがあったそうです。

とにかく、伝票を発行しなければモノやお金を動かせないシステムを構築してしまうことです。これを一つも漏らさないで徹底して行うことができれば、理論上、必ず数字が合うはずですね。

事実は一つである、というのはここからくるのです。

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2023年8月24日 (木)

932.バカがつくほど正直とは

師匠は、JAL再生時の記者会見では、JALのトップとして、事前の打合せなどまったくせずに、何でも包み隠さず答えていました。

まさに、バカ正直ですね。

破産する以前のJALの記者会見は、必ず事前に打ち合わせをして、こういう質問にはこう答え、あういう質問にはこう答える、と準備していたようですが、師匠はこういう打合せは必要ないのです。

師匠のような対応は、終始、後ろめたくない行動を全うしていなければできるものではありません。

師匠は、いつも私たちに、ジェームスアレンの言葉を引用して教えてくださいました。

「汚れた人間が敗北を恐れて踏み込もうとしない場所にも、清らかな人間は平気で足を踏み入れ、いとも簡単に勝利を手にしてしまう」

汚れた生き方をしていると正々堂々と生きられないが、清らかに生きていると正々堂々と生きられる。

清らかに生きるとは、正しく誠実に生きるということですね。

この教えに従って、私も清らかに生きようと努力してきました。

すると後ろめたいことがありませんから、ごくごく自然に、正々堂々と生きられるようになってきました。

バカがつくほど正直とは、こういうことなんだと思います。

 

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